精子選別用製品

HBA® Assay / PICSI® Dish / SpermSlow™

精子の評価・選択のソリューション
受精率・臨床妊娠率の向上と早期流産のリスクを軽減します。
ヒアルロン酸に結合する、染色体異数性やDNA断片化の可能性が低い精子を選択することで、ICSIにおける培養成績・臨床成績の改善に役立ちます。¹

HBA® Assay

PICSI® Dish

SpermSlow™ 

ご存知ですか?

・ 不妊の40~50%は男性側に要因があり、男性因子の82%が造精機能障害といわれています。
そのうちの約半数が、精子の数が少なくなり、動きが悪くなる特発性造精機能障害といわれています。

HBA® Assay / PICSI® Dish / SpermSlow™ を用いて精子の評価と正常な成熟精子の選択を

HBA® Assayを用いることで射出精子におけるDNAや染色体に異常の少ない成熟精子の割合を知ることが出来ます。その結果でICSIを行う際に、PICSI® DishまたはSpermSlow™を用いた正常な成熟精子の選択を行うべきかどうかの方針を固めることが出来ます。なお、Worrillowらが2012年に発表した内容によると、総運動精子における結合精子の割合(HBAスコア)が65%以下の場合は、生理学的な精子選別を行った後のICSI(PICSI)を実施したほうが有効であると報告されています。

正常な成熟精子を選ぶ理由

正常な成熟精子にはHspA2シャペロンタンパク質が存在しており、このタンパク質は精子自身の減数分裂、DNA修復、受精時の卵丘細胞複合体のヒアルロン酸への結合などの精子成熟ステップに関与しております。そのため、このような精子は受精後の胚発育や染色体数に良い影響を与えると言われています。4,5,6
ICSIの場合、ほとんどのケースにおいて形態評価のみで精子の選択を行っているため、事前に精子が正常に成熟しているかどうかを確認することにより、受精率、臨床妊娠率ならびに流産率の改善が見込めます。

成熟した精子とヒアルロン酸の関係

正常な成熟精子は卵子と受精するため卵丘細胞複合体に存在するヒアルロン酸に結合するための因子が発現しています。この因子が発現している精子はDNA断片化の割合が低いことが報告されています。7

正常な成熟精子を選ぶことのメリット・重要性

ヒアルロン酸による精子選別を行うことで、以下のような精子を選択することが出来ます。
・ 余分な細胞質を含まない成熟精子
・ ヒストンの残存がない精子
・ DNA断片化のリスクが低い精子

左よりクレアチンキナーゼによる免疫染色、アニリンブルーによる蛍光染色、ニックトランスレーション法によるDNA断片化標識です。

ヒアルロン酸に結合した、正常性の高い精子を選択することで、胚が異数体となるリスクを軽減します。5

ヒアルロン酸結合能・受精能の定量的評価

HBA® Assay

ヒアルロン酸結合能・受精能の定量的評価を行うことが出来るスライド

正常な成熟精子がヒアルロン酸と結合する修正を利用して、ヒトの目で判別することが難しい精子のDNAや染色体の正常性について、ヒアルロン酸をコーティングしたチャンバーを用いて評価します。

正常な成熟精子を選択

PICSI® Dish

精子の選択を容易にするヒアルロン酸のマイクロドットを備えたディッシュ

あらかじめ、所定の位置にヒアルロン酸のマイクロドットが固着しているディッシュです。正常な成熟精子がヒアルロン酸と結合する特性を利用しており、ディッシュ上でDNAや染色体に異常の少ない精子を選択することが出来ます。

SpermSlow™

リコンビナントヒアルロン酸を含有する精子選別用メディウム

正常な成熟精子がヒアルロン酸と結合する特性を利用して、DNAや染色体に異常の少ない精子を選択出来ます。

Step 1. 正常な成熟精子の割合を評価

ここではHBA® Assayを使用した手順をご紹介します

① カバーガラスを外して、赤枠に調整済みの精子を滴下します。

② カバーガラスを被せます。カバーガラスの青円にはあらかじめ、格子状のグリッド線が描かれています。その状態でしばらくの間、室温またはインキュベーターで静置します。

③ 正立顕微鏡にセットします

④結合している精子の数を数えて、HBAスコアを計算します。得られたスコアは、cIVF・ICSI・PICSIなどの治療方針を決める参考情報にします。¹

Step 2. 正常な成熟精子の選択

ここではPICSI® Dishを使用した手順をご紹介します

① 精子洗浄液(またはハンドリングメディウム)をヒアルロン酸のマイクロドットを覆うよう帯状に滴下します。(必要であれば、デュッシュ上部に不動化用PVPなどを滴下した後に)ディッシュをオイルで満たします。

② しばらく静置させた後に、精子洗浄液(またはハンドリングメディウム)のヒアルロン酸のマイクロドットとは反対側に精子懸濁液を滴下します。

③ ヒアルロン酸のマイクロドットを観察して頭部が結合している精子を選択します。

Step 2. 正常な成熟精子の選択

ここではSpermSlow™を使用した手順をご紹介します

① 精子洗浄液(またはハンドリングメディウム)を帯状に分注して、SpermSlowを精子洗浄液の一端にかかるように滴下します。

② 精子懸濁液を、精子洗浄液のSpermSlowとは反対側に滴下します。ディッシュをオイルで満たします

③ SpermSlowのドロップと精子洗浄液の境界あたりを観察し、ヒアルロン酸の三次元ネットに結合している精子を選択します。

HBAスコア(総運動精子における結合精子の割合)は、受精率、受精卵の分割期率、妊娠率と相関があります。
また、ヒアルロン酸に結合した正常な成熟精子を選択することで、受精率だけでなく臨床妊娠率や流産率が改善するとの報告があります。

HBAスコアと受精率・分割期到達率・妊娠率との相関¹⁰

形態評価のみと成熟精子での成績比較⁹

製品番号 製品名 梱包・容量
BCT-HBA-10 HBA® Assay 5枚(10アッセイ)
BCT-PICSI-20 PICSI® Dish 20枚(個包装・滅菌済み)
製品番号 製品名 容量 血清 フェノールレッド 有効期限
10944000 SpermSlow™ 0.1 mL × 4 12週間
1. Worrilow K, et al. Human Reproduction. 2013; 28:306-14
2. World Health Organization. Int J Androl. 1987; 7:1-53.
3. 厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査, 2015
4. Jakab A, et al. Fertility and Sterility. 2005; 84:1665-73
5. Huszar G, et al. Reproductive BioMedicine Online. 2007; 14:650-63
6. Mokanzki A, et al. Reproductive BioMedicine Online. 2012; 25:620-6
7. Yagci et al., J Androl 31. 2010; 566-572
8. David M, et al. Lancet VOLUME 393, ISSUE 10170, 2019; 416-422
9. E. Andaloro and S. Baohm, ESHRE 2015
10. Carine et al., Proceedings of Singapore Healthcare. 2013; 22:Number 2